東巻短歌集

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2016-01-18 21:51:51

君じゃない誰かにもらう幸せはいらない君が不幸にしてよ

twitterで詠んだやつ
随時更新 ↑new

租借するみたいにまるごと飲み込んだ 君は最上級のご馳走

夕時雨 学生鞄を傘にして駆け出す 早く背骨が舐めたい

日焼けすら知らないうなじに光る露 雨ならなりたい汗なら舐めたい

上下するアダムズアップル 禁断の果実と分かっていても食べたい

「Vの音は口唇噛め」と繰り返すそのくちびるに噛み付きたくて

零れ落つ蜜掬う指厭らしく 行儀悪さを注意できない

怖いものなんてなかったあの頃は 前を行く背に手は伸ばせない

抱かなけりゃ良かった 肌からあの夏の匂いがするんだ さらば青春

日焼け跡・向日葵・サイダーよりずっと夏色をした揺れる玉虫

週末を待ちきれないんだ 今夜9時ユーロスターよオレを浚って

A・B・Cまでしてみたし何したらZになるか試してみようか

恋だとか愛はいらない山頂で見える景色がふたりのすべて

焼きたてのパンに乗っけたバターよりお前に乗っかり蕩けてるオレ

大切な君を奪ったイギリスと国際線は有罪判決

偶然に二人揃ってブルーハワイ 今なら舌の味は同じだ

ライバルと過剰に発して誤魔化した欲にまみれた醜い気持ち

……後輩が大きくなったぞ」 雪山で見た玉虫は夏の幻

玉虫が飛ばぬ山頂 山神はしばし冬眠、春が来るまで

腕時計5分遅らせ帰れないフリするオレの恋に気付いて

スカイプの映像が消え声だけで好きの返事をもらった早朝

イレギュラー?何がレギュラーかどうかはオレが決めるよ。お前が好きだ

手羽先も魚も綺麗に食べるから、お願いオレも残さず食べて

当たり前みたいに正しいことばかり言ってるお前と犯した過ち

くちびるじゃ足りない舌でも足りないしそうだお前の心臓をくれ

蜘蛛の糸で縫い付けてくれ好きだって溢してしまうこのくちびるを

神様と呼ばれていても終電がなければ帰れん 今日は泊めてよ

アルコール抜きでセックスする策を考えてみる朝の4時半

お手本のような男の手を握るお手本みたいに異分子のオレ

恋だけじゃ足りない愛でも足りなくて、生涯オレのライバルでいて

恋じゃない!恋じゃないんだ!昨日見た夢にもお前が出てきたけれど

雨粒がシロップみたいに甘そうで宿木の下愛を啜った

この道はきっとお前と交差する 右手を上げて「さらば箱根よ」

過去形でなかったことにするのならベッドの中から出してあげない

お喋りな男が黙る オレだけが知ってる夜が深まる合図

少しずつ夜が短くなってきて君と競ったあの夏が来る

言葉には出来ない胸の高鳴りを電波に乗せて水色のS

「今日鯖の塩焼き食いたい」「冷蔵庫ホッケがあるからそれで我慢な」

「下着類ネットに入れろと言っただろ」「どうせお前が分けるしいいっショ」

この世界まるごと敵に回してもあの日あの手を掴めば良かった

朝起きて最初にするのはカーテンを開ける・歯磨き・お前とのキス

噎せ返る沈丁花の香 オレ達が出逢った春がまた来るんだね

月だけが全部見ていた 二人きり背骨の数を数えた夜更け

もう二度と離すもんかと掴んだ手 ひらりすり抜け手招きをする

寝てる間に切られた足の爪だとか 君がいなくちゃ生きれない理由(わけ)

恋情の海で溺れた泳げない蜘蛛は波間で藻掻き揺られて



~支部に歌集としてここ以下の短歌はまとめています~
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6434169



標本のような魚の骨を見てお前に食べられた日を想う

ソース派か醤油派なのか知るために二人で迎えた日曜の朝

君だけが使える魔法 「好き」という呪文で僕を幸せにして

あの夏で止まった時計を修理する業者を誰かご存知ですか?

グリニッジ天文台を越えたならまだ人のじゃない君に会えるか

ゆるやかな死と同意議だ もし君の運命まるごともらえないなら

重力じゃ逆らえないししょうがない 引き寄せられる 君は太陽

郷愁を誘う金木犀の香に埋もれて死んだひと夏の恋

真冬日の中にそよいだ春風の香り君にも届けばいいのに

階段を一つ飛ばしで駆け上がる その1秒を君に捧げる

片道の切符で来れたらいいのにと願う往復切符の孤独

焦げ茶色覗くプリンなつむじ毛を食んで勝手にチョコの日とする

君色の染色体が増えていきXYが曖昧になる

この毒は幸い死には至らない 中毒性はあるようだけど

あの夏の日焼け冬には抜けたのに灼けた心は今も痛んで

チョコレート?それより帰りあの店でいつもみたいにラーメン食わねえ?

別にやらかい身体にはなりたくはない でも君に愛されたくて

腹の中死んでく精子は愛なのか、愛じゃないのか君が教えて

「勘違いしてもいいよ」と伸ばされた手に脳髄がゆっくりと溶け

七色のシャツに隠したいつだって一人の色しか映さぬ気持ち

12度じゃ忘れられない酔った振りしてつま先を絡めた土曜

地球儀の上ならほんの10センチ そちらは夜でこちらは朝で

冷蔵庫重なるタッパー 胃袋も心臓だって君の手の中

「もう二度と何もいらない。一度だけ抱かせてくれない?」「一度でいいの?」

「このままじゃ二十歳で死ぬぞ」と生命線勝手に書き足す運命の人

好きだとかそういう言葉はいらなくて君の運命丸ごと頂戴

意気地無し 型どるくちびる一音も空気を揺らす音は鳴らない

12回程度で終わるドラマより飽きない恋がペダルを回す

見送った終電 箱根の湯煙はきっと全てを隠してくれる

左指光る証拠に「おめでと」と雫はメロンソーダに溶けた

吐き出せず飲んだ好きって言の葉はビオフェルミンでも消化できない

眩しさに目を細めても無遠慮に射し込む光り これが恋かな?

本当はいつも見えない 下睫毛震わす雫は何を知ってる?

あの夏の幻?いいや、燦然と輝く石が告げた年月

いつもなら静かな瞳に燃えている嫉妬の炎に理性を焼かれ

もうオレは全部お前にあげてるし、お前の好きにしたらいいのに

この石の意味を詮索させオレのことで頭を埋め尽くしたい

柔肌を貫く切っ先 嫡男の未来(さき)ゆるり仮死状態になる

いつだって君を傷つけその傷を舐める権利をオレにください

貫かれ感じる痛みと幸福を君に教えてあげる今すぐ

中でたくさん出されたし君想う涙も君で出来てる気がする

風邪引きをプリンで治す君だから風邪引かぬよう隣にいよう

目に見える形で君の魂に真っ赤な糸を結びたいのに

チョコレート色が微かに覗いてる旋毛に寄せたくちびるあまく

ニトログリセリンを腹に詰め込んでこの恋まるごと吹き飛ばす夜

ふと絡む視線に乱れた心音はメトロノームですら戻せない

その熱で融かしてほしい嘘ばかり繰り返してるこのくちびるを

薄氷を渡るスリルに憧れて机の下で絡めた小指

あの夏に言葉に出来ず胸の中醸した想いが熟す早秋

恋の音(ね)は車輪の回る音なのか ペダル踏むたび深みに落ちて

はつなつに触れたくちびる記憶から消しても温度残り続けて

もう二度と夢は見ないと決めたのに覚えた番号示すガラケー

オレ無しで生きれなければいいのにな 今の冗談!(ホントは本気)

はつなつに触れたくちびる記憶から消しても温度残り続けて

もう二度と夢は見ないと決めたのに覚えた番号示すガラケー

当然に見せかけ宝くじよりも低確率で出逢ったふたり

いつだって隣にいるよ 自転車で通れぬ道があったとしても

今日よりも未来はもっと君のこと夢中にさせる「見逃さないで」

間違いを犯してみてもいい だってそれが正解かもしれないし

さよならは本心じゃない分かってる帰るフリして戻る手のひら

夕暮れにはためくシャツの裾掴む勇気がなくて手を振り「じゃあな」

メイドイン君なら何でも食べたくて濡れる目尻に伸ばす舌先

おふざけの延長線でしたキスは水ではなくて酒で流して

「ねえ、声を聞かせて」「キモい」「きもくない。萎えないむしろ興奮するから」

「嫌いじゃない」「じゃあ好きなのか?」「嫌いじゃない」「それでいいからキスだけさせて?」

耳の裏黒子がみっつ並んでる君も知らない僕だけの君

「今日うちに誰もいないし泊まってく?もちろん期待に応えるつもり」

僕の背に並ぶ黒子をひとつずつ結んで星座みたいに名付けて

傷があるなら舐めるけど傷がないならとりあえず傷をつけなきゃ

恋なんて不確か いつか目が覚めるようならいまの距離感で良い

朝焼けを切り裂くタイヤ 今日君に大好きだって言おうと思う

水鏡 終話ボタンを押す僕のにやけた顔を見ないふりして

ひんやりと冷やし勃たせた冬風に嫉妬を覚え口に含んだ

こたつむり衝動的に愛し合いヒートテックが背に張り付いて

凍りつく耳たぶ解凍するように舌でなぞって全て溶かして

夏みたくトイレで色々出来ないし走れよ走れ家はすぐそこ

好きだよと雪に何度も書いて踏み何でもないふりして呼ぶ名前

新雪を踏んでくみたいにさくさくとメールの返事もできたらいいのに

滅茶苦茶に寒い日だけど「箱根よりマシ」って呪文で今日も乗り切る

赤鼻をからかう君の赤鼻に噛み付く世界一熱い冬

触れ合った足指絡ませ秘密裏に炬燵の下で愛を囁く

夏じゃない君を想像出来なくていちいちうるさい鼓動よ止まれ

ひんやりと冷えたくちびる 嘘つきめ、一体いつから待っていたの?

「寒すぎる」そうして招いた手の平がちっとも冷えてない件について

灰汁取りのコツを思い出せないのお前のせいだし責任とって

吐く息にこっそり混ぜた好きだって気持ちは白く染まって溶けた

夏よりも傾く気持ちを自転車に乗せられなくて口から零れて

あの夏の約束をなぞるみたいに交わしたキスと揃いの指輪

好きだよと伝える代わりに足裏へ力を込めた 回れよペダル

いつだって君と交わすくちびるにはあの夏の日の湿度が混ざる

昨日より今日よりもっと明日には君と競える自分でいたい

あの山を越えた向こうに何があるかは分からない 一緒に行こう

柔らかい身体の代わりに誰よりも飽きない刺激を君にあげたい

君といる未来を描けないけれどいまとりあえず隣にいたい

炭酸を飲まなくなった 細胞がこうして君に変えられていく

真っ直ぐなオレの「ねむい」に巻ちゃんが右肩上がりで雑な「頑張れ」

アルコール消毒してもこの体綺麗にならず火照っていくだけ

持ち物に名前を書けと育てられたから君にも名前を書こう

セックスをしたあとジブリ見る2人 ほたるの墓を見て泣く2人

短冊に書いてもきっと叶わない僕の願いは君が叶えて

二人して死ねたらいいね でも二人 生きていけたらもっといいよね

君のことたぶん絶対好きだけどまだたぶんだし目をつぶってる

恋人になれないことは分かってる せめて貴方の記憶になりたい

泣いたって拒んでいたってめちゃくちゃにして欲しかった 内緒の話

君じゃない誰かにもらう幸せはいらない君が不幸にしてよ


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