ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)へのハッキング事件が、大変なことになっています。ついに金正恩氏の暗殺計画を描いたコメディー「ザ・インタビュー」の上映を中止することになりました。

 事の発端は、11月末にハッカーがSPEの社内ネットワークに侵入し、未公開を含む5本の映画に加え、社内メールや約6000人もの社員と経営幹部の給料の金額や交渉内容、退職理由などの個人情報が流出してしまったことにあります。

 一部報道によると、ほかにも未発表の台本やトップシークレットの内容も盗まれたと伝えられており、史上最大規模のデータ漏えい事件に発展しそうな勢いです。

 未公開映画のデータやSPE内部のメールのやり取りがすでにネットに流出して大騒ぎになっています。ブラッド・ピット主演の「フューリー」や、19日公開予定のミュージカル映画「ANNIE/アニー」がファイル共有サイトで公開されたのを皮切りに、SPEのエイミー・パスカル共同会長のメールが流出。その中には、映画プロデューサーが女優アンジェリーナ・ジョリーを「ほとんど才能がない、甘やかされて育った子どもだ」と批判するものや、旧友とのやりとりで「オバマ大統領は黒人が主役の映画を好むに違いない」と人種をからかったもの、アップル創設者スティーブ・ジョブズ氏の伝記映画からレオナルド・ディカプリオが降板した理由なども暴露されました。

 これらすべてのハッキングのもとは、ソニーが製作した北朝鮮の最高指導者、金正恩氏の暗殺計画を描いたコメディー「ザ・インタビュー」にあります。本作の公開はテロ行為だと早くから北朝鮮側は公開中止を求めて抗議をしていましたが、クリスマス公開が決まり、その報復としてサイバーテロを仕掛けたと言うのが地元メディアの見解です。

 関係者によると攻撃を仕掛けたのは「GOP(平和の守護者)」を名乗るハッカー集団で、「ザ・インタビュー」の公開中止を要求していました。一部報道ではすでに流出しているものはごく一部で、ほかにも多くの重要機密情報が盗まれている可能性があると伝えられています。クリスマスにむけて“何か大きく不気味なプレゼント”が用意されているとも言われています。

 今後も芋づる式に流出が続く可能性が高く、社内では次にどんな爆弾が落とされるのか戦々恐々としていた矢先に「上映館にテロ攻撃を行う」の予告もあり、公開中止が発表されました。

 北朝鮮の関与も取りざたされていますが、ハリウッドがテロに屈し、表現の自由に対する脅迫に負けたことに対し、ハリウッド俳優たちからは怒りの声が相次いでいます。今回の事件で前例を作ってしまったことで、今後ハリウッドの映画製作が大きく変わる可能性もあり、危機感を募らせています(ロサンゼルスから千歳香奈子、写真も)

ソニーピクチャーズのエントランス
ソニーピクチャーズのエントランス