30年時点の原発比率「20%が下限」 同友会提言
経済同友会は24日、2030年時点の望ましい電源構成(ベストミックス)と原子力発電の比率について「原発依存度は20%程度を下限とすることが現実的だ」との提言を発表した。季節や天候に左右されずに安定供給できるベースロード電源として、原発を「相当な期間」で活用する必要があるとした。運転停止中の国内の各原発の再稼働も強く求めた。
原子力比率は震災前の10年時点で28.6%。経済産業省はベストミックスの議論を始めており、比率は15~25%を軸に検討が進むもようだが、参加する有識者の意見はなお割れている。経団連は30年時点で25%超とするよう求めている。
同友会は提言で「安全かつ安価にエネルギーを使えることは豊かな国民生活を支える根幹だ」と強調。太陽光など再生可能エネルギーは、国民負担の増加や出力の不安定さなどを理由に、30年時点でも「30%を超える数値は現時点では想定しにくい」と訴えた。
すでに廃炉が決まった国内の原発に加え、運転40年での廃炉を厳格に適用すると30年時点での原発依存度は15%程度になる。同友会は運転年限を延ばして使い続けることを想定。新増設の可能性も「排除すべきではない」と訴えている。
同友会は昨年の夏季セミナーで、それまで掲げていた「縮原発」という基本方針を見直すと打ち出した。今回の提言は原発活用に軸足を移す姿勢を示したが、「縮原発」という基本方針の撤回には踏み込んでいない。