【1月28日 AFP】ロシア連邦保安局(FSB)元職員のアレクサンドル・リトビネンコ(Alexander Litvinenko)氏が英ロンドン(London)で2006年に毒殺された事件の公聴会が27日、ロンドンの裁判所で開かれ、リトビネンコ氏は殺害される前にも1度、毒殺を企てられていた可能性が指摘された。

 リトビネンコ氏は2006年、ロンドンの高級ホテルで死亡した。検出が困難な放射性物質「ポロニウム210」を緑茶に入れられて毒殺されたとみられている。

 公聴会は、ロシア政府の事件関与を調べるもの。27日には、警察が病床にあったリトビネンコ氏から聴取した抜粋が提出された。

 英警察当局は最重要容疑者として、2006年11月1日にリトビネンコ氏とお茶を飲んだアンドレイ・ルゴボイ(Andrei Lugovoi)氏とドミトリ・コフトゥン(Dmitri Kovtun)氏の身柄引き渡しをロシア政府に要請したが、ロシア側に引き渡しを拒否されている。

 公聴会の主任法廷弁護士を務めるロビン・タム(Robin Tam)氏は27日、ロンドンの警備会社で06年10月16日に同じくリトビネンコ氏、ルゴボイ氏、コフトゥン氏の3者で行われた会合からも、ポロニウムの痕跡が検出されていたことを指摘し、事件の前にもリトビネンコ氏の毒殺が企てられていたことを示唆するものだと述べた。

「この証拠の示す極めて重要な点は、リトビネンコ氏が1度ならず2度までもポロニウムを飲まされていたことを示唆していることだ」と、タム氏は語った。(c)AFP/Dario THUBURN